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社債とは
公社債の中で、近年にわかに注目を浴びているのが「社債」です。公社債の中でも利回りが良く、リスク面でも株式のような高いリスクがない点が人気の要因のようです。
社債はなぜこれまで注目されなかったのか

公社債はすべて、資金調達を目的とした「借金の借用書」という意味合いがありますが、この中で、民間企業が発行する債券のことを「社債」と呼びます。社債は、企業が事業資金を投資家から集めるために発行し、利子を付けて返済される債券です。しかし、発行される社債のほとんどは、一般ではなく機関投資家向けであることや長引く不況のせいか社債はこれまで、あまり注目されることはありませんでした。しかし、ソフトバンクなどの新興企業が「個人向け社債」を発行し始めると急増し、2007年に4170億円だった発行額は2008年には1兆円を超えるという驚異的な伸びを記録しました。これには、メガバンクなどの金融機関による企業への貸し渋りが通例になったことによる企業の資金調達難と、個人預金における超低金利時代という2つの条件がぴったり合わさったことが要因とされています。
株式投資よりも社債を選ぶ理由

このように、2008年から始まった個人投資家による社債ブームは現在もなお続いています。もともと金融不安が起きると、確実性の高い投資対象に人気が集まりやすくなるのですが、株式に比べると社債は、企業が倒産でもしない限りきっちり利子を受け取れるという利点があるため、株式投資から社債にシフトした人も多く出るようになりました。株式も社債も、企業に資金を投資するという点では共通の意味合いを持ちますが、決定的な違いは「返済義務」です。株式の場合には「出資証券」と言って、「利益を出すのも損失を出すのもあなた個人の責任で行なってください」という自己資本型の証券であるのに対し、社債は「借用証券」と言って「どうかあなたのお金を弊社に貸してくれませんか? 利子を付けてお返ししますので」という他者資本型であるために、企業は社債を購入した人に元本を返済する義務があります。極端な例では、企業が倒産をした場合には、株は紙くずということになりますが、社債の場合には倒産しても元本返済義務は残ります(ただし、義務はあるが、払えない場合もあります)。
また、企業側としても、社債のほうが株式よりも短期間で発行できる点や自社の株価が下がるというリスクを負わなくても資金を調達できるというメリットがあります。
このように、社債は公社債の中でも一見、地味な存在ですが、現在のような低金利時代においては意外と狙い目の金融商品ということが言えます。